ビリヤードはスポーツであり厳格な競技規定(ルール)が設けられています。そのルールを正しく理解してプレーすることで競技を楽しみことができます。
ビリヤードのルールには全種目共通のものと種目ごとに決められた詳細なルールがあります。
ここではポケットビリヤード全種目に共通するルールについて概要を解説します。

使用する用具について

ビリヤード競技では台の大きさや試合中に使用できるキューの本数、珠の規定、利用できる用具などについて様々な規定があります。
まずは初心者のかたが最低限知っておかなくてはならない内容について解説します。

ビリヤード台
台の大きさについては内径が長辺100インチ(約254センチ)、短辺が50インチ(約127センチ)、縦横比が2:1の長方形のテーブルが利用されます。台の高さはおよそ80センチ前後となっています。
コーナーポケットの開口部は約12センチ、サイドポケットの開口部は約13センチとなっています。
他にもさまざまな規定がありますが、通常はビリヤード場にある規定に準拠した台を借りることができるのでひとまず割愛します。

キュー
試合中に持ち込めるキューは3本までです。
キューの重さは25オンス(約708グラム)まで、長さは40インチ(1016ミリ)以上となっています。
市販されているキューは規定に基づいて作られているので安心して使用できます。

球(ボール)
大きさは約57.1ミリ、重さが約170グラムのものを使用します。硬質の樹脂製のボールが一般的に広く使用されています。
ボールについても規定に基づいたものをビリヤード場で借りることができます。

その他の用具・用品
チョークやメカニカルブリッジ、グローブなどを使用できますが、本来の使い方でない使用法は禁止されています。以下のような例があります。

  1. メカニカルブリッジで手球を撞く
  2. チョークを手やメカニカルブリッジの台として使用する
  3. メカニカルブリッジの上に手をおいてその上でブリッジ(手)を作り撞く
  4. チョークで目印をつける、チョークをおいて目印にする
  5. 余っているボールで間隔の測定などを行う

ゲーム中のルール

ポケットビリヤードにおける共通のルールには以下のものがあります。ファールとされた場合、プレーを継続する権利が相手に移ります。また、ファール後にどのようにゲームを継続するかという点について競技ごとに細かい決まりがあります。

手球が狙うべき正しい的球に最初に当たらなかった
的球を番号順に狙う必要がある種目では撞いた手球が正しい番号の的球以外に先に触れた場合はファールとなります。クッションに当たってから狙うべき的球に当たるのはOKです。

キューのタップ以外で球を触る
手球に触れてよいのはキュー先のタップ部だけです。ゲーム中にボールをセットする場面以外では手や髪の毛、衣服などが触れるのも厳禁です。また、チョークやメカニカルブリッジが球に触れるのもファールとなります。
長髪の方が構えたときに髪がボールに触れたり、胸ポケットに入れたチョークやメガネが落ちて球に触れても同様にファールとなります。

ショット時に両足が床から離れてしまう
手球の位置により普通に構えることが難しい場合にテーブルに体重をかけて構えることがありますが、このときに両足が床から離れるとファールになります。撞く瞬間(タップが手球に当たる瞬間)に片方の爪先が床に「明らかに接していた」状態であればファールになりません。

手球がポケットに落ちてしまった
撞いた手球がポケットに入ってしまった場合、ゲーム継続ができないため「スクラッチ」と呼ばれるファールになります。

ボールが動いているのに次のショットを開始してしまう
テーブル上でボールが動いている(手球、的球にかかわらず)間に次のショットを行うとファールになります。
その場でボールが回転している状態は「ボールが動いている」とみなします。

二度撞き
撞いた手球が跳ね返ってきてキューに触れたしまった場合は「二度撞き」と呼ばれるファールになります。
手球と的球が近く、ショット後にキューをすばやく離せないと想定される状況(おおむね手球と的球の距離がチョーク1個分くらい)では「プッシュします」と宣告してから撞くことでファールが免除されることがあります(大会ごとのルールによる)。

場外球
パワフルなショットをするあまり、手球や的球がテーブルの外(レール上に乗っても)に出てしまうとファールになります。
レールに乗ってしまった球がテーブル内に戻って来た場合はファールにはなりません。

マーキング
ショットの目印になにかものをおいたりチョークで印をつけたりするなどの行為は違反行為です。

ミスキュー
故意にキューで手球をこじったり先角で手球を撞いた場合などはファールになります。
故意ではないミスショットはファールとみなさないこともあります。

妨害行為(インターフェア)
自分の番でないときに相手のプレーの妨げになる行為(音を出す、身体を動かして注意をそぐ など)は妨害行為とみなされファールとなります。
順番を待つ間は静かに椅子に座り自分の順番を待ちましょう。

ノークッションファール
手球が所定の的球に当たった後、ひとつもポケットされず、どの球もクッションに到達しない状況になってしまった場合はファールとなります。クッションに当たった後、1ミリでも跳ね返ればファールにはなりません。
これは自分がポケットを狙えないときに的球に手球をピッタリと寄せて相手のショットを故意的に難しくするのを防ぐために設けられたルールです。

ここで紹介したルールは初心者であっても最低限覚えておかなくてはならないものです。
さらに詳しくルールを知りたい方は日本プロポケットビリヤード連盟が公開している「ポケットビリヤード・NBAルールブック」を御覧ください。